働きながら親などを介護する「ビジネスケアラー」が増えています|
高齢者人口の増加とともに、仕事と介護の両立に苦労されている方も増えています。働きながら家族などを介護する方のことを「ビジネスケアラー」(または「ワーキングケアラー」)と呼びますが、経済産業省は、2030年には家族を介護する人は833万人にのぼり、うち4割にあたる318万人がビジネスケアラーとなる見通しを予測している。※
※出典:経済産業省 第13回経済産業政策新機軸部会資料「新しい健康社会の実現」(2023年)
介護離職の増加|
仕事と介護の両立は、精神的にも体力的にも大変で、親の介護を理由に仕事を辞める「介護離職」の人数は増加傾向にあります。
出典:総務省の「平成29年就業構造基本調査結果」
介護のリスク|
・経済的な負担(収入の減少)
いつまで介護を続けるかが不透明な中で離職をしてしまうと、収入が無くなる期間が長引く可能性があり、また、ご自身の退職金や年金額も減ってしまう為、一時的な減収だけでなく生涯年収まで減ってしまう経済的なリスクを伴います。
・精神的な不安
経済的な負担からくる不安感や、介護レベルによってはご自身の自由時間が減り、精神的な不安を生じることになります。リフレッシュできる時間を確保することも重要です。
・体力的な負担
公的な介護サービスにも制限があり、ご自身での介護負担が重くなってしまう場合は、体力的な負担が生じます。
介護離職を防ぐために、仕事と介護を両立するための方法(8選)|
■仕事と介護の両立支援制度を活用する
1:会社の介護休暇を利用する
2:介護休業を取得する
3:介護休業給付を受け取る
■介護保険サービスを利用する
4:訪問介護(在宅介護)を利用する
5:通所介護(デイサービス)を利用する
6:通所リハビリテーション(デイケア)を利用する
7:特別養護老人ホームに入所する
■民間の保険外サービスを利用する
8:家事代行サービスを利用する
1:会社の介護休暇を利用する|
介護を必要とする家族が1人の場合、年5日(対象家族が2人以上の場合は年10日)まで休暇が取得できる。時間単位での取得も可能です。労働基準法の年次有給休暇とは別で取得が可能なため、有給休暇と組み合わせれば長期で休暇取得が可能ですが、介護休暇の内容は会社の規定によって異なる場合があるため、所属している会社へ確認が必要です。
2:介護休業を取得する|
介護休業も介護を必要とする家族を介護するために取得できる休暇のこと。対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として分割して休業を取得できます。育児休業と似ていますが、異なる点は育児休業が最大2年間(子が2歳になるまでの間)取得できるのに対し、介護休業は通算93日間となっています。介護休業と同様に「同じ事業主に1年以上雇用されていること」などの条件が設けられています。
3:介護休業給付を受け取る|
介護休業を取得し休業している間、給与の67%の介護休業給付金を受給できます。有期雇用労働者は追加の要件を満たすことで受給ができます。
4:訪問介護(在宅介護)を利用する|
訪問介護員(ホームヘルパー)が、利用者のご自宅を訪問し、入浴、排せつ、食事などの介護や調理、洗濯、掃除、買い物などの家事を行う。
※日常生活の援助の範囲を超えるサービス(庭の草刈り、ペットの部屋、大掃除、窓ふき等)は、訪問介護でサービスを受ける事ができません。
利用者負担額
出典:厚生労働省 どんなサービスがあるの? - 訪問介護(ホームヘルプ) | 公表されている介護サービスについて | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」 (mhlw.go.jp)
5:通所介護(デイサービス)を利用する|
通所介護の施設に通い、食事や入浴などの支援や、心身の機能の維持・向上するための機能訓練、口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供します。高齢者同士の交流もあり、施設は利用者の自宅から施設までの送迎も行います。
※通所介護は、要介護1・2の人は利用できません。
利用者負担額
出典:厚生労働省 どんなサービスがあるの? - 通所介護(デイサービス) | 公表されている介護サービスについて | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」 (mhlw.go.jp)
6:通所リハビリテーション(デイケア)を利用する|
通所リハビリテーション施設(老人保健施設、リハビリテーション病院など)において、日常生活の自立を助けるために理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などがリハビリテーションを行い、利用者の心身機能の維持回復を図ります。
7:特別養護老人ホームに入所する|
常に介護が必要で、自宅では介護が困難な方が入所する施設。食事、入浴、排せつなどの介護を一体的に提供します。
※原則要介護1・2の人は利用できません。
8:家事代行サービスを利用する|
介護保険は介護レベルによって利用できるサービスに制限があります。そのため、介護保険を使わず自費の介護サービスとして家事代行、清掃代行サービスが注目されています。特に、高齢者に特化して安否確認サービスを兼ね備えた家事代行サービスがおすすめです。
■家事代行サービスの特徴
・利用時間に縛りが無いこと
介護保険サービスには要介護レベルによって点数が決められており、サービスを受けるには時間制限が設けられています。家事代行サービスでは時間に縛られる事なく、例えば30分だけのスポット利用や、週1回や週2回訪問してお部屋の掃除を行う定期利用サービスも提供しています。
・介護認定を受けない同居する高齢家族にもサービス提供が可能でる
介護保険サービスの対象者はあくまで認定された本人のみの為、同居する家族が高齢であったとしてもサービスを提供することはできません。同居する家族の食事もつくってほしい、家族の部屋の掃除もしてほしい、といった希望にも柔軟に対応ができます。
・高齢者に特化した安否確認サービスを提供
対象顧客が共働き世帯ではなく、高齢者に特化して提供している事業者もあります。訪問するスタッフ全てが介護資格を持っている事業者や、離れた家族への安否確認を兼ねたレポートサービスを提供している事業者など、高齢者に特化したサービスもさまざまです。
高齢者に特化した家事代行サービスの紹介|
・イチロウ https://ichirou.co.jp/
見守り介護など長時間利用といったご要望に応じたオーダーメイド介護サービスを提供。全スタッフが介護士資格を保持。
対象エリア:首都圏、中部、関西
・ニチイライフ https://www.nichiiweb.jp/kaji/
介護業界最大手の株式会社ニチイ学館が提供しており、介護に関するノウハウと実績を持つ。全国47都道府県へ提供。
対象エリア:全国
・東急ベル https://www.tokyu-bell.jp/
東急沿線特化だが、自宅の清掃・家事代行サービスだけでなく、買い物代行や福祉ハイヤーの手配、介護用品の販売等シニアライフをトータルサポート。
対象エリア:首都圏
・かじりん https://www.kajirinn.com/
高齢者特化型で30分の短時間スポット利用が可能。離れて住む家族向けの安否確認サービス「ファミリー報告サービス」を提供。遠距離介護層(例:子供が東京に住み親が大阪に住んでいる)に実績。
対象エリア:関西